第1回中高生会議の開催について

第1回中高生会議に興味をお持ちの保護者の皆様へ
〜ワークショップで行うその内容が記載されていますので、
 ご本人である中高生のみなさんにはあまり見せないでください。
 

心理社会的ケアとは

心理社会的ケアは現在心的外傷のケアや、その後に発生する可能性の高いPTSD(心的外傷後ストレス障がい)の予防のために有効な「心のケア」の手法です。
 桑山は1994年にノルウェー王国オスロ大学附属「心理社会的ケア難民センター(Psychosocial Centre for Refugees)に留学し、DR. Edvard Hauff博士に師事して学びました。その後、旧ユーゴスラビア紛争、2000年代に頻発した世界の大災害(イランバム地震、パキスタン北部大震災、スリランカ津波被害、ジャワ島中部大震災、四川大震災)などで実践。その知見を確実なものにしていきました。2003年から現在に至るまで、パレスチナ自治区ガザ地区ラファ市に事務所を置き、紛争により心的外傷を受けた子どもたちの心理社会的ケアを継続しています。
 そして2011年3月11日、当時桑山は宮城県名取市の海の近くに「東北国際クリニック」を開業していましたが、津波で被災。しかし建物とスタッフが無事だったため直後より病院を開け24時間体制で2ヶ月間緊急医療支援を行いました。
 そして同年6月より名取市の子どもたちを対象に「心理社会的ケア」を開始。それから3年間にわたって毎日活動を継続してきました。その内容は「心理社会的ケア・マニュアル」にまとめられ、英語版も完成しています。
 
 この心理社会的ケアはグループワークを基本にはしていますが、自分の内面にあるものを形にして外に吐き出すというものです。その意味においては「自己との対峙(たいじ)」をテーマとしていますが、その一方で「対峙した自己」を「集団の中に表現し、集団に受け止めてもらう」ということもまたテーマの一つです。
 現代ニッポンに暮らす中学生、高校生は様々な心の重荷を抱えています。もちろんそれは明確な心的外傷ではなくとも様々な傷付きが心の中に存在します。それを抱え続ければ心は重くなりますが、吐き出せば軽くなります。
 日々の外来において30分の時間をかけ、子どもたちの語りに耳を傾けていく外来も有効ではありますが、その一方でこういったグループワークも大切と考えています。

針金のワークショップとは

 70センチくらいの針金を自分の人生に見立て、一方の端が「生まれたとき」、もう一方の端が「今」。それを折ったり曲げたりしながら自分の人生の軌跡を70センチの針金で表現するものです。
 辛い出来事の時には下に折れ、嬉しい出来事の時には上に折り、ギザギザとアップダウンする自分の「人生」を表現していきます。
 そしてその折り目、折れ目の「ターニングポイント」の出来事には粘土でその出来事を表す「アイコン(しるし)」を作っていきます。例えば「病院に入院して手術した」という出来事の時には病院マークの「赤十字」や「血」のしるしとしての「赤い粘土」をくっつけます。
 そして完成したら、一人一人がその人生をみんなの前に出て発表していきます。そこには笑いや涙、納得や疑問が交錯しますが、それこそまさに「グループワーク」の目指すところです。
 多少の緊張はありますが、まずは「図画工作」のような手作業が中心のワークショップです。最後の「発表」では緊張があまり発表できないことがあっても、それはそれでありだと思っています。
 どうぞ安心してお子様の背中を押してあげてください。

6月20日
桑山紀彦(院長。心療内科医)

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